自動車製造業から食品製造業まで広く使われるようになった産業用ロボットは、多くの現場で導入されています。
産業用ロボットはロボット機器を購入後、作業に合わせた動きをするよう設定する必要がああります。
その動きを教え込むことを「ティーチング」または「教示」といいます。
こちらのページではティーチングの方法から種類、必要な資格まで詳しく解説していきます。
ティーチングとは、ロボットにどのような動きをするのか教え込むことです。教示とも言います。
具体的にはどういう条件で、どういう順番で、どういう姿勢で動くのかをロボットに教え込むことをティーチング(教示)といいます。
教示については労働安全衛生規則第36条第31号に定義されています。以下はその抜粋です。
産業用ロボットの可動範囲内において当該産業用ロボツトについて行うマニプレータの動作の順序、位置若しくは速度の設定、変更若しくは確認(以下「教示等」という。)
マニプレータとはロボットのアーム部分を指します。つまり、産業用ロボットのアーム部分を動かす順序、位置、速度を設定・変更・確認することを教示もしくはティーチングといいます。
ティーチングには危険が伴うため、後述する『産業用ロボットの教示に関する特別教育』を修了した作業者のみ行うことができます。
産業用ロボットのティーチングには大きく分けて4つの方法があります。
順番にティーチングの方法を解説します。
オンラインティーチングとは、ティーチングペンダントと呼ばれるリモコンを使用し、ロボットを実際に動かしながら教示する方法を指します。
作業プログラムを制御装置に記憶させプレイバック再生し微調整を行います。このことからプレイバック方式とも呼ばれます。
ロボットを動かしながらティーチングできるので、知識や経験の浅い方でも比較的容易にティーチングが可能です。
オフラインティーチングとは、パソコンで動作プログラムを作成し産業用ロボット(制御装置)にデータを転送しティーチングを行う方法です。
産業用ロボットから離れた場所でロボットの電源をオフにした状態でもティーチングが可能です。
ダイレクトティーチングとは、ティーチングペンダントなどを使用せずロボットのアーム部分を手で持ち直接動かす方法を指します。
直感的なティーチングが可能でCADのような専門知識が不要です。
産業用ロボットにAIを搭載することで、ティーチングなしでも動作する産業用ロボットも登場しています。
作業を繰り返す中でデータを蓄積し、より精度の高い動作を実現します。
オンラインティーチングはプログラミングを入力する必要がないのでティーチングの中でも比較的わかりやすく初心者にも教育や操作がしやすいというメリットがあります。
一方で、一つ一つ動作を入力する必要があるため生産ラインを停止する必要があるのが大きなデメリットとなります。またティーチングの精度によって作業効率も影響を受けます。導入の段階からミスなく迅速なティーチングが求められます。
パソコンから専用のソフトウェアを使用してのティーチングとなるため、生産ラインに影響を与えないことがオフラインティーチングのメリットです。プログラミング言語やCADの知識があれば比較的早くスキルを身につけることができます。
しかし実際にロボットを動かしているわけではないので位置や速度の調整が必要になったり、メーカーごとに異なるソフトの使用が必要な場合もある等注意が必要です。
ダイレクトティーチングは直接アームを動かしてティーチングすることができる簡単さが大きなメリットです。しかし、正確なティーチングが難しい点やティーチング中の誤作動による災害リスクなどもあります。そのため一般的な産業用ロボットよりも安全対策がしっかりしている協働ロボットに多く用いられています。
AIを搭載したロボットを使用することで、不定形ワークやばら積みワークへの対応も可能になります。ティーチングする人材が不要なので人件費を抑えることができますが、初期費用は高額になります。長期的な運用コストを比較するとティーチングレスの方がコスト削減になる場合もあります。
ティーチングを安全に行うために以下の2点を満たす必要があります。
しかし、ティーチングは駆動源をONにした状態で行われることがほとんどで、かつ産業用ロボットの可動域内での作業になることが多く上記の条件を満たすことが難しい危険な作業です。
産業用ロボットに使用されているサーボモータは、電源が投入されている間はいつ動くかもしれない待機状態にあるモータです。ティーチング作業中は突然マニプレータが動き出す可能性伴う危険な作業であることを充分に理解する必要があります。
もしもの誤動作に備え作業内容に熟知した監視人を配置する等、労働災害を起こさないようリスクアセスメントの実施が大切です。
産業用ロボットのティーチングには危険が伴うため特別教育を修了した作業員だけが行うことができます。
ロボットティーチングに必要な資格は、『産業用ロボットの教示に関する特別教育』です。
特別教育とは、有害な作業や危険を伴う作業を行う場合に受講が義務付けられている教育です。産業用ロボットは労働安全衛生規則第36条31号において特別教育の受講が義務付けられています。
特別教育は各ロボットメーカーや教育機関で実施されています。学科教育を7時間、実技教育を3時間の合計10時間以上と習得時間が規定されています。通常は2日間に分けて教育を実施しています。
弊社は広島市中区にて産業用ロボットの教示に関する特別教育の受講ができるロボットスクールを運営しています。
産業用ロボットの導入に備えた人材育成から、オペレーター不足の解消のための社内教育としてご活用いただいております。
また個人のスキルアップのために個人で受けていただくことも可能です。
広島電鉄舟入町駅から徒歩5分で、原爆ドームや市内中心部からのアクセスも良くお越しいただきやすい場所にスクールを構えました。
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